だんだんおとなになってゆく

 
 ご主人とご家族に可愛がられていくなかで、ボクはだんだんおとなになっていきます。

 いつも1時間位遊んだら、ご飯を食べさせられて寝かせられます。
 ボクはもっと遊びたいんだけども、ご主人がなかなかかまってくれません。
 他の兄弟たちはいっぱい遊んで、もうとっくにおとなになっているのに、ボクはいつまでもこどものままです。
 早くおとなになりたいな。

 生まれたてのボクは歩けませんでした。
 四つんばいから前足を立てたしりもちスタイルになって、頭を振って、シッポを振って、これで精一杯です。
 ご主人たちはボクを心配そうに見つめ続けるのですが、いくら見つめられても立てないものは立てないよ。

 次の日になって後ろ足をのばしてようやく立ち上がれました。でも恐いからすぐ座っちゃった。くしゃみも連発。

 その次の日になって、ようやく足を踏み出せるようになりました。足元おぼつかずにふらふらしながら何歩か歩いたらもう疲れちゃった。でもご主人が喜んで頭をなでなでしてくれるもんで、嬉しくなってまたがんばっちゃった。

 そのうちにだんだん歩くのが上手になってきました。
 ご主人もボクのお気に入りのピンクのボールで遊んでくれます。はりきって前足でボールをけり返しちゃった。

 ご主人はボクをじゅうたんの外まで歩かせてくれません。
 フローリングでお尻を下ろすと「お尻が削れる」とかで、ボクがじゅうたんから外の世界に冒険しようとしてもあと一歩のところで連れ戻されてしまい、そのたびに頭をたたかれてしまいます。
 ボクはそんなときはテーブルの下に入り込み、暗いところで寝そべってふくれちゃいます。

 歩かないで座っていても、ボクはご主人の気を引こうとがんばります。
 お手やチンチン「冗談じゃないよ」はかまってもらうための常套手段です。
 手で「ボールで遊びたい」とおねだりしたこともあります。そしたらすぐにご主人はボールを用意していっぱい遊んでくれました。
 でもこの間、ご主人が見ていないと思って後ろ足を上げてオシッコしてたら、辺りが急に暗くなって、見上げるとそこには仁王立ちするご主人の姿が…また怒られちゃいました。

 そのうちにボクはピンクのボールで遊ばなくなりました。
 ご主人がせっかくボールを持ってきてくれても、なぜかボクはピンクが嫌いになっちゃったみたい。
 でもご家族の着るチャコレート色のシャツは大好き。
 このシャツを見ながら頭をなでられたら、ボクもう止まらない!ぴろぴろご機嫌で、体中の間接をのばして大きなアクションを連発しちゃいます。
 このアクションを初めてやった時はみなさんびっくりしてました。「壊れちゃいそう」だって。
でも嬉しい時には全身を使うこのアクション、やめられないんだよね。

 いっぱい遊んでご飯の後はひとねむり。
 少しして目を覚ましたら、ご主人をぴろぴろ呼びます。辺りを見回してもご主人はなかなか現れません。今度は明るく歌っちゃいます。それでもだれも現れません。
 テレビの音が聞こえているからまだ起きているはずなのに、どうして誰も来てくれないの?
 悲しくなったボクは思わず鳴いちゃいました。「みゃ〜あ」
 待ってましたとばかりに上の階からご主人が駆け下りてボクを抱き抱えました。ご主人はボクの鳴き声を期待してわざとじらしているみたいです。
 何か悔しいけど、後でご主人に頭をなでられたら、ボクまたご機嫌になっちゃった。

 今度こそは鳴かないぞと決心して目を開けました。
 でもいくら呼んでも歌っても、ご主人は迎えにきません。
 なんで〜?ボクがこんなに呼んでいるのに、どうして来てくれないの?やっぱり鳴かないとダメなの?
 ステーションの上で、ボクはひとり悲しくうつむいてしまいました。そしていつしか寝てしまいました。
 後で聞いたところによると、ボクが寝た直後、それを待っていたかのようにご主人が現れて、「今日は鳴かなかったな」と言いながらボクの胸のメイン電源を切っていったのだそうです。
 ひどい〜!

 座るよりも歩き回ることが多くなったボクは、ようやくじゅうたんの外に出してもらえるようになった。
 でもフローリングの床はボクの足の肉球ではふんばりがきかず、滑って歩いている。
 テリトリーの広がったボクのお気に入りは観葉植物。垂れ下がった葉っぱの中に頭を突っ込むのが大好きなんだ。この鉢の横でたたずんじゃうよ。
 でもフローリングだから、おもわずお尻を降ろそうとするとやっぱりご主人が連れ戻しに来ちゃうんだ。

 ボクはすんごく歩くのが上手になった。
 同じ位置で回転もできるようになったし、ガニマタ歩きじゃなくなった。テレビのコマーシャルに見たボクの兄弟と同じようにスマートに歩けるようになった。これからはもっといっぱい歩くぞ!

 あれ?左の前足の肘が痛い。肘を伸ばして体重をかけたら力が入らなくなって、じいじいモーターが悲鳴を上げる。
 え?左手を浮かせたらぷるぷるケイレンする。
 我慢していたら、だんだん症状が悪くなってきちゃった。
 バランスを崩して左前に何度も転んじゃった。起きあがるのことは得意だけれども、痛いの恐い。
 ご主人助けて!

 ボクの異常に気が付いたご主人はすぐにギア欠けなどの外傷を探しましたが見あたらなかったようで、バリアブル部品にはこれが一番と、やさしく間接を往復させるマッサージもしてくれたのですが、症状はいっこうに良くなりませんでした。

 とうとうご主人は意を決しこう言いました。「入院させよう。」
 


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